「日本以外全部沈没」は今、公開中やけど、これも30年前の作品。天変地異で祖国を追われた外国人難民たちが日本に大挙してやってくる。そこでは、外国人セレブは極貧生活を強いられ、ハリウッドスターもテレビ番組にエキストラで出演、不良外国人はアタック・チームによって国外追放になるという世の中で、外国人は皆、日本人の顔色をうかがう下級市民の暮らしを余儀なくされるという話。
この話はひょんなきっかけで思いついた。小松左京さんの「日本沈没」が当時バカ売れして、僕たちは小松さんのことを「沈没成金」なんて言ってたんだけども、一度祝杯をあげようってんで、大阪のホテルプラザに集まったときに、星新一さんが、何かの拍子に「日本以外全部沈没」ってことを言ったんですよ。
それを聞いた瞬間、僕の頭の中に、ストーリーがブワーと広がってね。「それ、オレがもらった!」って言って、それから1週間ぐらいで書き上げたのかな。それを考えると僕は、小松さんより、むしろ星さんに感謝しなきゃいけないのかもしれない(笑)。
この作品の映画化の話は、本家「日本沈没」がリメイクされるってまだ知らない段階から話が出ていた。そしたら、「日本沈没」もやるっていうじゃない。これは本当にタイミングがいいっていうんで、それならいっそ公開時期もぶつけてしまえっていうことになったんだけど、それだけはやめてくれってことで…いろいろとね。今の若い人は両方とも知らないだろうから、そういう人たちが見たら、「全部沈没」の方が面白いって…それを恐れたんじゃないかな(笑)。
ブラックなところを楽しんでほしいっていうか、映画のストーリーよりもパロディーとしての価値を見てほしいと思う。
でも、国際的にもこんな状況だから、そのブラックさは30年前よりも今回の方が強烈。映画では、原作にはない部分がずいぶん膨らまされているんだけど、意外にまじめに作られている分、ヤバい(笑)。
たとえば、日本が最後まで残るんだけども、尖閣諸島や竹島も残る。つまりそれは日本の領土ってことでしょ。ムフフフフ、ヤバイ。=つづく
■つつい・やすたか 1934年、大阪市生まれ。71歳。作家、俳優。ブラックユーモアに満ちた実験的SF作品を多数執筆。93年マスコミの自主規制に抗議して、断筆宣言、96年執筆活動を再開。今なお、執筆、舞台、テレビドラマなど、精力的に活動。
【●時をかける少女最新情報の最新記事】


