2007年12月23日

原田知世

デビュー25周年を迎えての記念盤的ニュー・アルバム。最高のクリエイター陣に支えられた、〈音楽と私〉の世界は素晴らしい!

〈ついに〉とか〈満を持して〉とか、そんな大げさな物言いではなく、そっと〈おかえりなさい〉と声を掛けたくなるような──5年ぶりに届けられた原田知世のニュー・アルバム『music & me』は、大好きな音楽とふたたび触れ合うことができた彼女の純粋な喜びに満ち溢れ、何とも言えない幸せな気分をリスナーも共有できるような作品だ。

 「音楽活動を再開したい気持ちはずっとあったんですけど、女優業に夢中になっていたら5年が過ぎてしまって。アルバムを作るきっかけになったのは(2005年8月に行われた)映画〈サヨナラCOLOR〉の公開記念ライヴ。あの日、久しぶりに歌ってみて、やっぱり音楽っていいなと思えたんです」。

 音楽活動を再開させるにあたって彼女がパートナーに選んだのは、MOOSE HILLやnaomi & goroといったユニットで活躍する伊藤ゴロー。昨年リリースされたMOOSE HILL『DESERT HOUSE』で彼女はヴォーカリストとして参加している。

 「ゴローさんと話し合ったのは、これまでの音楽活動で培ったものに加え、これからの方向性も見えるような作品にしましょうということでした。実っている作物をここで一旦、収穫しつつ、今後に繋がる種も同時に蒔きたかったんです」。

 そんな彼女の願いを叶えるべく、今作には鈴木慶一(ムーンライダーズ)、高橋幸宏、高木正勝、オニキユウジ、キセルといった世代や音楽性を異にする、個性豊かなミュージシャンが集まった。

 「皆さんに共通しているのは、柔軟な姿勢で音楽に取り組んでいるところ。例えば(鈴木)慶一さんや(高橋)幸宏さんとかは、常に新しいものやおもしろいものにアンテナを張っていて。そういう姿勢がすごく素敵だなと思うんです」。

 弦楽器を配した室内楽的なナンバー、彼女の瑞々しい歌声が映えるギター・ポップ、そして浮遊感漂うエレクトロニカなど、多彩なサウンド・アプローチがなされた今作において、なかでも出色なのが“時をかける少女”のセルフ・カヴァー。伊藤ゴローのシンプルなボッサ・ギターを中心にしたアレンジで、24年前の名曲に新たな息吹を注ぎ込んでいる。

 「ずっとライヴでも歌っていなかったし、自分の中に大切にしまっていた曲なので、多少不安な気持ちもありました。でもゴローさんに〈あの曲は名曲だし、デビュー25周年に相応しいじゃない?〉って言ってもらって。今回、歌ってみて改めてこの曲の普遍的な魅力に気付きました」。

 本作はまさに〈音楽愛好家による音楽愛好家のためのアルバム〉というべき素晴らしい作品に仕上がっている。そしてインタヴュー終了後には本誌前号をパラパラとめくり、さっそく青柳拓次のソロ・アルバム『たであい』をチェックしていた彼女。このように音楽に対して好奇心旺盛な姿は、映画の神様のみならず、音楽の神様だって惚れちまうってもんです。

ここでは25年に渡る彼女の音楽活動をざっくりおさらい。まずは82年のデビューから91年までの初期音源をまとめた『原田知世ベスト』(ソニー:1)。“時をかける少女”をはじめとするアイドル時代の名曲集で、あどけなさの残る歌声に胸キュン! そして彼女が「音楽生活を覚醒させてくれた」と語る、鈴木慶一プロデュースの92年作『GARDEN』(フォーライフ:2)。打ち込み主体のドリーミーな音世界が心地良い一枚です。さらにスウェディッシュ・ポップの重鎮、トーレ・ヨハンソンがプロデュースした97年作『I could be free』(フォーライフ:3)は、トーレ節全開の涼やかでいなたい雰囲気が彼女の歌にマッチしてます。そして、ゴンチチなどを手掛ける羽毛田丈史プロデュースの2002年作『My Pieces』(フォーライフ:4)ではグッとアダルトな印象に。アコギやピアノによるオーガニックなサウンドが軽やかに展開されています。各作品のサウンドはさまざま、でも彼女独特の〈柔らかさ〉は共通する魅力ですね!
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